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2012-01-12

かきフライ定食―秋葉原〔とんかつ冨貴〕

 子供というものは、大抵魚介類より肉類が好きなものである。肉の旨味というものは、魚の旨味と比べて格段に濃く、それが子供の未発達な舌に強く訴えるのだろう。
 子供の頃の私もまた、魚介類は大の苦手であった。ハンバーグや焼肉を好み、白身魚の寄せ鍋よりも豚肉のたっぷり入ったすき焼きを好んだものだ。
 それが二十歳を過ぎると、次第に魚介類が口にあうようになり、三十近くになるとほとんどの魚介類を好んで食べることができるようになった。
 新宿の立ち食い寿司屋でビール片手に、脂ののったハマチや、ぷりっとした赤貝を食べていると、大人になったという感慨とともに、
「歳を取ったものだ……」
という一抹の寂しさを感じたものである。
 さて、魚介類嫌いの子供たちの中でも、唯一の例外といってよいものがエビフライである。
 豪華さを演出するために、有頭で揚げるものもあるが、やはりなんといっても頭を切り落とし、まっすぐに揚げられたエビフライが一番よい。あの一本筋の通ったエビフライの姿に、ステーキやハンバーグと同じくらい。子供心をくすぐられたものだ。
 レストランで出るエビフライには、初めからタルタルソースがかかっている場合が多いが、海老に限らず魚介類のフライに何をかけるかということは、しばしば大きな問題になる。
 揚げたてのコロモの感触を楽しむために、タルタルソースがよいと言う者もいれば、ご飯のおかずには、ウスターソースのたっぷりかかったコロモがよいと言う者もいる。
 私は基本的にタルタルソースを好んでいるが、カキフライだけは断然ソース派である。
 というのも、秋葉原にある「とんかつ冨貴」で食べたソースをかけたカキフライよりも美味しい、タルタルソースをかけたカキフライには未だ出会えていないからである。
 秋葉原は、変化の激しい東京の中でも、もっとも時の流れが早い街である。若いころ、幼なじみの山下進一と共に、駿河台の学校へと通っていた私にとっても、馴染みのある街であった。
 それが学校を卒業したあと、一時期疎遠になっていて、数年前に久しぶりに秋葉原の街へと足を踏み入れたときには、そのあまりの変わり様に愕然とした。
 活気はそれなりに残っているものの、不釣合いな真新しい高層ビルヂングが乱立し、かつて街を覆っていた猥雑さが綺麗サッパリなくなった、観光客の街へと変貌していたのだ。
 そのショックを引きずりながら、街を歩いていた時、偶然「とんかつ冨貴」を発見したのである。
 今風の高層ビルヂングの真横に、昔ながらの上が住居になっている二階建の店舗、その玄関が開け放たれており、なんとも言えない香ばしい揚げものの香りが私を誘っていた。
 中に入ると、カウンターとテーブルが置かれた店内は、客が十人も入れば満員になってしまうような狭いものだったが、それがまた昔ながらの食堂を思い起こさせた。
 そこで私は店前の看板に書いてあった、かきフライ定食を頼んだのだが、これが実に当たりであった。

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 冨貴のカキフライにはタルタルソースはつかない。卓上のとんかつと兼用のソースをかけて食べるのである。
 揚げたての大粒のカキフライからでる牡蠣そのものの旨味と、芳醇なソースが口の中で絡み合い、これが実に熱いご飯に合う。一度このカキフライを食べたら、タルタルソースのカキフライはずいぶんと味気なく感じてしまう。
 更に付け合せにはキャベツやパセリの他に、スパゲッティナポリタンがついてくる。これがまた懐かしく、そして美味い。もちろん、香の物や豚汁の美味さは、言うに及ばず、である。
 このかきフライ定食は秋から始まる季節限定メニューであるが、屋号にもなっているとんかつやクリームコロッケ、各種フライの盛り合わせなど、通常メニューも何を食べても美味い。
 そして冨貴の魅力は料理だけではない。
 店主をはじめとする店の人間の細やかな気遣いと、彼女たちを二言三言交わす触れ合いもまた大きな魅力なのである。
 食事の楽しみというものは、単に美味いものを胃に入れるということだけではない。食べ物を通して、人と人とが触れ合い交流することもまた食事の楽しみなのである。
 かつては、日本全国の街に冨貴のような食事の楽しみを提供する店があり、地元の人間が足繁く通っていたものだった。
 しかし今ではその多くが廃業し、画一的なチェーン店に取って代わられている。
 味はともかく、チェーン店のマニュアル接客、あれはいただけない。人であるはずの店員が機械のように見えてくるし、食べているこちらも餌を与えられた家畜のような気分になってしまう。
 しかし、これがむずかしい、いまの時代の趨勢なのだ。
 食事にそこそこの味と、安さと、手軽さだけを求める人が大半なのである。
 冨貴のような本物の食事を提供する店にとって、ますます大変な時代になっていくのだろう。(終)

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