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書籍・雑誌

2013-02-21

アメコミ語り #40: Red She-Hulk #58 (2012年/Marvel Comics)

第58話: 女の恨みは怖い

制作陣

ライター: ジェフ・パーカー
ペンシラー: カルロ・パグライヤン、ウェリントン・アウヴェス
カラリスト: ヴァル・ステイプルズ

あらすじ

 とある秘密の場所。米国陸軍航空軍レジナルド・フォーティアン少将が「エシュロン計画」のお披露目を行っていた。「エシュロン計画」とは軍の指揮下に入らない一般市民であるスーパーヒーローたちに替わる軍属超人兵士製造計画であり、ジューン・コビントン博士(現ダーク・アベンジャーズ所属スカーレットウィッチ)の遺伝子研究の成果を流用し、いくつかの犠牲を払った上でようやく成功にこぎつけたものだった。

 そんなエシュロン兵達によるお披露目の模擬戦に突如レッド・シーハルクが乱入する。三人がかりのエシュロン兵を難なく片付けた彼女は「エシュロン計画」を中止するように脅しをかけるとどこかへと去って行く。

 フォーティアン少将からの連絡を受けたキャプテン・アメリカは最近レッド・シーハルクと関わり合いのあったマシンマンを呼び出していた。彼の分析の結果、レッド・シーハルクはベティ・ロスの体に戻りヴァージニア州アーリントンにある「エシュロン計画」の研究所に潜入している確率が高いことが判明する。

 その分析の通りアーリントンの研究所に潜入していたベティは計画に参加することで性犯罪の罪を軽減してもらった被験者ヴィン・コルシコが女性研究員をレイプしようとしているところに遭遇する。研究員を助けるためハルク化したベティはコルシコのパワーに多少苦戦はするものの、最終的には首が捻れ顔が真後ろに向いてしまうほどの顔パンチを放って勝利する。

感想

 Hulk (Vol.2)からの誌名変更後の一話目。今の所ベティがなぜ「エシュロン計画」を敵視するのかいまいち分からないのでなんとなく乗れない感じ。ただ「今お前達は自身をこの星から消し去るその一歩目を踏み出したんだよ」みたいなセリフ吐いたり、ワンパンチで首コキャしたりする武闘派キャラのベティはなかなか面白い。

 フォーティアン少将は誌名変更前のこのタイトルが初出のキャラでロス将軍の信頼の厚い部下だったらしかったり、マシンマンとベティの絡みも誌名変更前のエピソードだったりと継続して読み続けている人にはまた違った風に感じるのかも知れない(私はちゃんと読んでない)。

2013-01-25

アメコミ語り #36: Marvel Now! Point One #1 (2012年/Marvel Comics)

表題: NYSE

制作陣

ライター: ニック・スペンサー
アーティスト: ルーク・ロス
カラー・アーティスト: リー・ラフリッジ

あらすじ

 マリア・ヒルに呼び出されたニック・フューリーJr.とエージェント・コールソン。

 ニューヨーク証券取引所に突如現れ3時間のうちに世界経済を動かすまでの取引をしてみせた謎の男をシールドが捕まえたところ、彼が100年近い先の未来からやってきた存在で全てはニック・フューリーにだけ伝えると言ったためにフューリーは呼び出されたのだった。

 男は自身の言葉通り、フューリーに対して未来からの警告を、これから起きる出来事への警告を伝える。そして「コビク」という謎の言葉を発っするのだった。その時になってようやく男の中に何か別の存在が居ることに気付いたフューリー達だったが、時既に遅く謎の存在は突入してきたシールド隊員の体を次々と乗っ取り他の隊員を射殺していく。コールソンが体が乗っ取られる際瞳孔拡張が起こることを発見したお陰で何とかホストごと謎の存在を射殺できたのだが、事態を重く見たヒルはフューリーたちに宣言する。

「アベンジャーズ計画について話す時が来たようね」

表題: ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー

制作陣

ライター: ブライアン・マイケル・ベンディス
ペンシラー: スティーブ・マクニーブン
インカー: ジョン・デル
カラリスト: ジャスティン・ポンサー

あらすじ

 20年前のウィスコンシン。

 帰宅したピーター・クィル少年が玄関先で母親に呼び止められる。何かあったのかと聞く母親にナンパされた女の子を助けるために喧嘩したことを告白したピーター少年はそのまま二階へと上がっていく。その時、家の前の森に強烈な光が現れる。訝しむ母親の目の前に現れたのは二体の銃を持った異星人だった。

「スパルトイの血統は根絶やしにせねばならぬ」

 母親を射殺した異星人達はさらにピーター少年の命を狙う。母親の寝室まで逃げてショットガンで異星人を倒したピーター少年だったが、そこで母親が隠し持っていた謎の銃を手に入れる。そして異星人の宇宙船に家を破壊される前に何とか逃げ出すのだった。

表題: ダイアモンドヘッド

制作陣

ライター: ジェフ・ローブ
ペンシラー: エド・マクギネス
インカー: デクスター・ヴァインズ
カラリスト: マルテ・ガルシア

あらすじ

 新ノヴァが夜空を駆ける。ニューヨークからセントルイス、リトルトンへと「自分は何者なのだろう」と自問しながら。

 ユタ州モニュメント・バレーにさしかかったところで突如「てめえは何者だ!?」という声とともに敵の襲撃を受ける。

 敵の名はダイアモンドヘッド。かつて何度もノヴァと戦い刑務所送りにされたヴィランだ。死んだと聞いていたノヴァをテレビで見て復讐のためにニューヨークからずっと追いかけていたのだという。

 そのノヴァは僕じゃないという主張にダイアモンドヘッドは耳を貸さず戦闘になってしまう。経験不足からか圧倒されてしまう新ノヴァだったが、ダイアモンドヘッドがヘルメットを手にかけると発言したことからとまばゆい光を放って彼をノックアウトする。

 そして意識を取り戻したダイアモンドヘッドに今度ちょっかい欠けてきたらアベンジャーズを呼んでやると脅しをかけた上崖の上へと置き去りにしてノヴァは飛び去っていくのだった。

表題: 新世界

制作陣

ライター: キーロン・ギレン
アーティスト: ジェイミー・マッケルヴィー with マイク・ノートン
カラー・アーティスト: マシュー・ウィルソン

あらすじ

「アタシはアース212にいた」

 そう述懐しながらミス・アメリカことアメリカ・チャベスはコリアンタウンに降り立った。韓国焼肉店である人物と会うために。

「こっち、こっち! ミス・アメリカ! 遅かったから先に注文済ませちゃったよ!」

 その人物とはロキ。ミス・アメリカが別世界の住人であったこと、彼女がこれまで体験したことを知っていることをそれとなく言及した後、魔法でウィッカンの姿をだしながらながらある取引を持ち出す。

「マルチバースのためにもこいつがいない方がいいと思わないかい?」

 それを聞いたミス・アメリカはおもむろにロキの首を掴むとそのまま頭を鉄板の上に叩き付け、さらには瞬間移動で難を逃れたロキを瞬時に追撃して殴り飛ばす。

「アンタも彼も監視してやる。もしアンタがなにかしようとしたら、ここでやろうとしたことを本気でやるわよ?」

 そう宣言してミス・アメリカは去って行くのだった。

表題: 芸術だ!

制作陣

ライター: マット・フラクション
アーティスト: マイケル・オールレッド
カラー・アーティスト: ローラ・オールレッド

あらすじ

昔……二代目アントマンことスコット・ラングは幼い娘キャシーにマルセル・デュシャンの『L.H.O.O.Q.』(ヒゲを描き加えた『モナ・リザ』)を見せながら芸術についた語っていた。

「芸術というものはね、誰かが芸術だといったらそれが芸術で、それはばかげたものである時だってあるものかもしれないものなんだ。そしてばかげたものだって認められることがあるんだよ」

 そんな話を聞きながらキャシーは父親との写真にピンクのペンでヒゲを描き加えていた。「パパ、大好き」という言葉と共に。

そして今。

「ヴィクター・フォン・ドゥームが私の娘を殺した。この言葉を正気を保ったまま大声で出せるようになるまで6週間もかかったんだ」

 スコット・ラングはジョニー・ストーム(ヒューマントーチ)とその恋人ダーラと共にラトヴェリア芸術展のパーティに来ていた。二人には内緒で小さくなってダーラのまつげに潜みながら。ささやかな復讐のために。

 翌日、芸術展の会場ではドクター・ドゥームの肖像画にピンク色のヒゲが描き加えられているのが発見される。

表題作: クレイジー・イナフ

制作陣

ライター: デニス・ホープレス
アーティスト: ガブリエル・ヘルナンデス・ウォルタ
カラリスト: デビッド・クリエル

あらすじ

「君は一日中そうやって私に話しかけるつもりなのかい? それとも私の手助けをしてくれるのか? それと私をスキッチと呼ぶのは止めてくれ。私の名前はフォージだ」

 廃墟の中で脳内の謎の声と会話を繰り広げていたフォージは自分の作ったものではない壊れた機械を発見して、修理に取りかかる。首尾良く機械の修理を完了すると、今度は突然機械から脳みそがあふれ出てきたものの、それも何とか止めることに成功する。

「よくやった、スキッチ」

 謎の声ともに謎の機械も脳みそも一瞬のうちに消えてしまう。

「あの機械は私の脳みそだったんだろう?」

「そんなところだ」

 正気を取り戻したフォージの前に生身の体となったケーブルが現われ、自分の体を治すように依頼するのだった。

感想

 これから始まる「マーベル・ナウ!」新規タイトルのプロローグというか前日談をいくつか集めたオムニバス・ワンショット。

 「NYSE」はSecret Avengers (Vol.2)のプロローグ的作品で制作陣も同作品と一緒。作中の謎の男が語る迫る危機の端緒としてその他の短編が続くという形になっている。未来から来たという話に面食らうフューリーJr.の初々しさ(姿はアルティメット版&映画版フューリーそのものなのに)とそれほど珍しいことではないと説明するヒルの対比が面白い。あと敵の特徴を短期間で見抜ききちんと対処してみせるコールソンの腕利きっぷりも見逃せない。ちなみにNYSEとはニューヨーク証券取引所の略。

 「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」は同名タイトルGuardians Of The Galaxy (Vol.3)の制作陣が手がける同誌の主要キャラであるスターロードのオリジン・リトールド。基本的にそれまでのオリジンとは変っていない様子。

 「ダイアモンドヘッド」はNova (Vol.5)のプロローグというよりもAvengers VS. X-Men #12から直接続く話。この新しいノヴァは2011年発売のオムニバス・ワンショットMarvel Point One #1でデビューし、Avengers VS. X-Menで二話ほど出ただけの新人キャラ(日本でも放映されているアニメ『アルティメット・スパイダーマン』に出てくるノヴァも彼なのだけれど)。ダイアモンドヘッドに向かって「あんたの問題って顔が醜い以外に何があるのさ」とか言ってのける辺りスパイダーマンっぽい感じになるのかなと予想してみる。

 「新世界」はYoung Avengers (Vol.2)のプロローグ的作品。なにやら画策してアベンジャーズを作ろうとしているロキ(現在外見は子供、中身はおっさんの方になってる)も気になるところだけどなんと言ってもミス・アメリカが大当たり。彼女は2011年に発売されたミニシリーズVengeance(未読)で初登場したラテン系キャラで、ためらいもなく(それでいて店には迷惑かけた分は払うことを先に言う気配りも見せながら)焼き肉の鉄板にロキの頭を叩き付けようとする剛胆な性格が素晴らしい。瞬間移動で難を逃れたロキを瞬時に追撃するなど戦闘能力も高そうで、それでいて今回明かされた別アース出身という謎な部分もあり、このキャラのためだけにシリーズ追うのもあり。プレビューなどで見たジェイミー・マッケルヴィーの絵はのっぺりした感じでいまいちかなと思ったけど通して見てみるとこれはこれで実に味わい深い絵で結構気に入った。

 「芸術だ!」はFF (Vol.2)の制作陣が送るドゥームに娘を殺された二代目アントマンのささやかな復讐劇。マイクロ化して人体に潜むということをマイク・オールレッドがいつもの調子で凄く奇妙な世界として描いているのが楽しい。小市民的な復讐劇もこれはこれで二代目アントマンに合ってる感じがして良し。

 「クレイジー・イナフ」はCable And X-Forceの前日談的作品。ライターも同誌と一緒の人。内容的にはAstonishing X-Menの「ゴースト・ボックス編」で狂人となってしまったフォージの復活劇とケーブルによるチーム勧誘の話。

 全体としては掌編ばかりだけどなかなか楽しめた。新シリーズへの橋渡しとしてもきちんと機能していると思う。特にNova (Vol.5)Young Avengers (Vol.2)が気になるかな。

2013-01-24

アメコミ語り #35: Uncanny Avengers #1 (2012年/Marvel Comics)

第一話: 新結成

制作陣

ライター: リック・リメンダー
アーティスト: ジョン・カサディ
カラー・アート: ローラ・マーティン

あらすじ

 瞳にフェニックスの姿を焼き付けた男が脳みそを切除され機械を取り付けられている。その手術をする謎の人物が人類によるミュータントへの迫害が起こることを説きながら男に囁く。

「殺られる前に殺るのだ」

 ジーン・グレイ高等学園ではウルヴァリンのスピーチのもと、プロフェッサーXの葬儀が行われた。葬儀に参加した後その足でサイクロプスが収容されている監獄へと出向いたハボックは兄を責めた後、キャプテン・アメリカとソーに出迎えられる。

 キャップはアベンジャーズとXメンの合同チームを作りヒーロー活動をすることによりプロフェッサーXの目指したものを実現しようと考えていた。そしてそのチームのリーダーにハボックを指名したのだった。しかし、柄ではないと辞去しようとするハボック。

 その時、開頭手術の後を残したアバランチが突如ニューヨークの街中で暴れ始める。割れた地面に人々が飲み込まれ、ビルが倒壊する大惨事に駆けつけたキャップたち三人はソーとハボックが人命救助に向かい、キャップがアバランチと対峙する。

 しかしキャップが迫るとアバランチは抵抗もせず「ダムは決壊し、激流は解き放たれた……煽動行動完了!」の言葉を残し投身自殺してしまう。

 一方、夕暮れ時のプロフェッサーXの墓前にスカーレットウィッチが献花に訪れ、生涯かけて彼の夢を守ろうと誓いの祈りを捧げていた。そこに全ての元凶であるMデイをもたらしたワンダをどうしても許せないローグが現れ彼女に突っかかって行く。

 その最中、大爆発が起こり、現れた謎の能力者軍団の攻撃によって、ローグを庇ったワンダが重症を負い、ローグも叩きのめされて、二人とも拉致されてしまう。

 そして……謎の基地では脳みそを誇らしげに掲げるレッド・スカルが高らかにこう宣言するのだった。

「このチャールズ・エグゼビアの脳を使い、レッド・スカルがミュータントの脅威を排除するのだ!」

感想

 「マーベル・ナウ!」の開幕を告げる新シリーズ第一話目は脳みそで始まり脳みそで終わるというかなりショッキングな絵面の一話。

 厳密に言うと今回の時点ではまだハボック率いるアベンジャーズ&Xメン混合チームは結成されていない状態で、今回の対レッド・スカル戦を通してチームとして正式に結成されていくのだろう。

 未だに兄サイクロプスへのコンプレックスありありなハボック、折角教授の墓前で償いの決意をしたにもかかわらずローグに食ってかかられると「私は自分のしたことの責任を受け止めるわよ。でもサイクロプスはどうなの?」と火に油を注ぐことを言ってしまうスカーレットウィッチ、そんなワンダと口論した挙句に激高して彼女をぶん殴ってしまうローグ、とテンション高めな火種があってこの先面白いチームになっていきそう。

 ローグといえば「サイクロプスはあんたが消滅させようとしたミュータントを救うために戦っていたのよ!」と実際の行動とその結果の是非はともかくちゃんとスコットの信念と目的を理解をした発言もしていて凄く好感が持てた。誰からも理解されずに全責任を押しつけられる形で責められるだけじゃあ流石にスコットがかわいそうだし。

 ストーリー的には謎の復活を遂げたレッド・スカル(スティーブ復活の際の戦いで倒されて、跡目は娘のシンが引き継いでいた)と彼の配下の謎の能力者軍団(ローグ達を拉致する際教授の遺体らしき物も一緒に持っているシーンがある)が教授の脳みそを使って仕掛けるミュータント殲滅の陰謀にまだチームにすらなれていないハボックたちがどう立ち向かうのか、この辺が大いに気になるところ。

2013-01-11

百合語り #47: 『ジョシコーセーの成分。 SCHOOL GIRL OVERFLOW』(ハセガワケイスケ/2013年/アスキー・メディアワークス)

※SPOILER WARNING!!
ネタバレあり。

 念のため書いておくと、恋愛的な意味での百合はここにはない。

 主人公の美樹本花鈴は入学式の日の盛大に遅刻したことと持ち前の自信のなさと自虐的な性格からクラスで友達を作れずにぼっちで浮いた状態になってしまい孤独主義者を高校一年生。自分とは違いあまりにもまぶしく輝くお姫様系美少女で熱烈に好いてくれる友達を何人も持つ隣の席の安比奈ひな子を苦手に思いつつも羨ましく思い、そして強く惹かれている。

 そんな感じだから、割とネガティブ、というか後ろ向きな感情や行動が頻繁に出てくる。例えば雨の日に傘を持ってきた花鈴が持ってこなかったひな子たちが雨の中飛び出し濡れながらはしゃぐ姿を横目に見て傘なんて忘れてれば良かったと思ってしまったり、自分の席で机に伏して寝たふりしながら隣の席の会話に聞き耳立てたり。

 とは言っても、深刻なほど重くはない。浮いているからと言って別にいじめられるわけでもなく、むしろ浮いている=変っているという認識でクラスには受け入れられているし、実はひな子とその友人達にも興味を持たれている。本人が気がつかないだけで。何歩か踏み出せば自然と浮いた状態から地に足を付けた状態でクラスに溶け込めるだろうし、実際ひな子とその友人達ともっと近づいた状態になることを暗示するような描写もいくつかある。ただ残念なことに今回の話ではそこまで行ってはいないのだけれども。それに寮で同室の同級生とはきちんと友達になっているし(他のクラスだけど)、自分と同じような境遇の女の子には積極的にアタックして友達になっている(他のクラスだけど)。

 昔森田公一とトップギャランというグループがヒットさせた「青春時代」という曲に「青春時代の真ん中は 道に迷っているばかり」という歌詞がある(作詞は阿久悠だ)。美樹本花鈴はそういう迷いのど真ん中にいるだけなのだ。そしてそんな彼女を取り巻く人々はとても柔らかくて優しい。だから読んでるこちらの青春のトラウマをちくちく刺激するようなことはあっても絶望的なまでに落ちこむことはない。そういう意味では凄くゆるい。でもゆるいからこそ何度も読み返したくなるような読後の爽やかさが生まれるのだと思う。つまるところ、この作品は素晴らしい青春小説ということになる。

 ただまあ凄く読み手を選ぶ作品ではあるとも思う。大部分が凄くふわふわした感じのpoeticな文体であるため好き嫌いがはっきり分かれそう。poeticな文体だからこそ「ジョシコーセー」的なキラキラふわふわした雰囲気が出せているのだけれども。あとエピソードごとに分かれている短編の詰め合わせであるので文体の壁を乗り越えれば凄く読みやすい、はず。

 肝心な百合的な要素だけれども、冒頭に書いたように恋愛的な要素ではない。しかし花鈴がひな子と物理的に近づい自分が男子中学生だったらと思う程度の反応は見せるし、ひな子を取り巻く友人達は過剰なまでのひな子好きっぷりをみせるし、花鈴の友人にも美少女好きがいる。漫画だったら疑いもなく多くの人が百合作品だと断定してしまう程度には百合ではある。だから百合オタは安心して買うと良いと思うよ。

 本全体としてはキャラ紹介と状況解説的な物語のプロローグに終始した感があるので是非続きが読みたいと思う。いくつか次に続く要素も仕込まれているし、作者も続きを書く気持ちはありそう。そのためにはまず売上げなのだけれどもね。

2012-12-23

『ヴァンパイアハンター・リンカーン』と『リンカーン/秘密の書』

※SPOILER WARNING!!

人民の人民による、人民のためのネタバレ警告。

ちなみに映画の脚本を担当しているのは原作者であるセス・グレアム=スミス。

 というわけで映画と原作小説を適当に比較してみる。

 まず原作も映画もリンカーンの生涯を追いかける構成になっているのは変らないものの、その一つ一つはやはり原作の方が濃い。

 原作ではリンカーンの生誕から暗殺まで事細やかにエピソードが拾われており、リンカーンの祖父がインディアンに殺されたことや父親との微妙な関係といった細かな部分までが巧みに吸血鬼に結びつけられている。一方で映画では極力個々のエピソードが削られている上にウィリアム・H・ジョンソンが幼馴染みキャラになっていたり、最終決戦でジョシュア・スピードが命を落としたりと史実を改変している部分もある。暗殺自体も描かれていない。

 史実にしても映画は明確に描かれているのはゲティスバーグの戦いだけなのに対して、原作では南北戦争自体全体的に描かれていて、そのある種の結末でもあるリンカーン大統領暗殺自体もかなり詳細に描かれている。それだけでなくエルジェベート・バートリやロアノーク植民地、果ては第二次世界大戦にキング牧師まで登場してもはやリンカーン大統領というよりアメリカという国を吸血鬼で語り直しているような感じすらある。

 当然その辺りは登場人物にも影響していて、共通して主要キャラをつとめるリンカーン夫妻とジョシュア・スピード以外の実在の人物は映画ではウィリアム・H・ジョンソンがしかいないのに対して、原作ではスピードとジャック・アームストロング(若き日のリンカーンとレスリング勝負をして負けたごろつき集団「クレアリーズ・グローブ・ボーイズ」の首領)が同じ吸血鬼ハンターとしてリンカーンと共に闘うだけではなく、同じ吸血鬼の友人を持つ身としてエドガー・アラン・ポーが、リンカーンの政敵であるスティーブン・ダグラスが吸血鬼の支援を受けた政治家として、さらには大統領候補の座をリンカーンと争い後にリンカーン大統領時代の国務長官にもなるウィリアム・スワードがリンカーンと並ぶ腕利きの吸血鬼ハンターとして登場する。

 もう一方の主役である吸血鬼自体もかなり設定や扱いが違う。映画だとリンカーン大統領の盟友であるヘンリーは宿敵アダムを倒すために単独で動いている感じになっているが、原作では人間を奴隷化しようとする吸血鬼一派に対抗する穏健派吸血鬼集団の一人として描かれておりそもそもアダムも登場しない。

 というわけでこのように原作小説だと緻密に伝記・史実に吸血鬼を絡めているのに対して、映画はアクション映画としてのわかりやすさを重視している感じで、なるべく設定を削って抑え気味にしているような感じがある。この辺のマッシュアップ時代小説とアクション映画というジャンルの違いがくっきり現れているところがなかなか面白い。

2012-11-17

電子書籍の夢の跡

 日本でしつこく電子書籍待望論をぶち上げてた人たちの多くはなぜか携帯漫画やケータイ小説をまるっと無視していたけど、あれも立派な電子書籍だと思う。確かに端末に合わせるためコンテンツの形自体を大幅に変えてしまってはいるが、アナログ自体の形に固執するあまり電子ブックリーダーのような専用端末とセットで売り出してことごとく討ち死にしてきた国内電子書籍事情を考えるとどちらが正しいかまあ分かると思う。

 所謂ガラゲーが日本国内で最も多くの人が長時間手元に起き続ける携帯型端末であった以上、そこにコンテンツを供給することがビジネスとしては最もスマートで正しいやり方だった。ただ最近になってスマートフォンの急速な普及とタブレット端末の浸透によってその図式が崩れてき始めていて、そのタイミングでAmazonのKindleサービスやニコニコのニコニコ書籍が開始されるのも面白い。

 両者ともスマートフォンやタブレット端末向けに従来のコンテンツの形を維持しながら供給していおり、さらに国内でそれなりに会員数を持っているサービスのアカウントを流用できるという利点がある。だからある程度の成功は約束されているようなものだが、それ以上どこまで成長できるのかという部分に日本国内の電子書籍ビジネスの次の形がかかっている。

2012-10-05

百合語り #43: 意思と世界と百合の物語 - 『裸足のキメラ』(大北紘子/2012年/一迅社)

 最近は他人の百合作品の感想を見ることすら苦痛に感じてしまい積極的に避けているので、実際どうなのかはわからないけれど好き嫌いのはっきり分かれそうな作家および本だとは思う。基本的にどの作品も抑圧された女性が主人公で、キャラに男性ヘイトな台詞を喋らせているものまであり、そしてストレートなハッピーエンドではない、という色んな方面のヒートを買いそうな作風だからね。

 「名もなき草の花の野に」の少女娼館、「欠け落ちて盗めるこころ」の男は兵役に女は結婚して子供産むことが求められている戦時下の社会、「裸足のキメラ」の貧富の差が激しい階級社会、「はんぶんこ」の家に縛り付けられる田舎。

 大半の作品はこのような抑圧的な世界が舞台で、主人公たちはそんな世界に手足を鎖で縛り付けられている。もちろんその中で男は抑圧側の存在になるわけだけど、実はそれほど前面に出てきていない。あくまで象徴であって、直接的な男への抵抗が描かれるのは「名もなき草の花の野に」くらいなもの。

 基本的に主人公たちが行き着く先は世界へのささやかな(あるいは密やかな)resistanceであり、それは決して世界を変えることも、世界によって定められた自分たちの運命を変えることもできないが、それでも彼女たちは自分たちの意思を持って決断することによりままにならない世界の中で生きていく力を得ている。そしてその切っ掛け、あるいは武器として描かれるのが百合的な関係・気持ちなのだ。

 こうした作品がどこか日本を思い出させながらも現代日本社会とは直接リンクしていない異世界を舞台にしているのは生々しくなってしまうのと、リンクしてしまうと逆に絵空事感が増してしまう為なのだろう。男女関係にスポットを当てて依存からの脱却を訴える「花々に似た蟲」と「愛と仕事と金の話をしよう」が現代日本社会を舞台にしているのもその辺の加減からだと思う。

 そういう意味ではこの本には二種類のタイプの作品が載っているわけだが、個人的にはやはり異世界を舞台にした世界へのresistanceの物語が好み。こっちの路線を追究していくと、おそらく今の百合ジャンルで手薄で女性向けライトノベルで隆盛なファンタジーものへ行き着くこともできるので、ぜひ最終的にはきっかりきっちりした設定があるヒロイックファンタジーを連載して欲しいと思う。

2012-10-01

百合語り #42: 百合姫ネイティブが世界を変える - 『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』(大沢やよい/2012年/一迅社)

 『コミック百合姫』を読んでいて何故だか知らないけれど非常に気になる作家だった大沢やよいの初単行本。

 あらためて単行本でまとめて作品を読むと、どの作品も話自体はオーソドックスだけどど真ん中直球で描いているという印象が強い。後書きにある作者による作品解説で書かれているそれぞれの作品のテーマ的なものが本当にストレートに描れていて、さらにそれぞれのキャラのまっすぐな想い、そのまっすぐさ故に傷つく心・揺れ動く心が気負いを持って描かれている。その力みすぎたストレートさに私は惹かれたのだなあ、と。

 言ってしまえば青いということなのだけれども、その青さは「百合の初期衝動」に突き動かされるままにがむしゃらに描いているという感じの青さであり、それが魅力になっているのが大沢やよいという作家だと思う。そういう意味では「今しか描けないテーマ」ということでニコ生を題材にした「ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ」は大沢やよいのpersonalityを最も色濃く反映していて、単行本タイトルになるのも、初の連載としてその続編を描くのも当然と言っていい作品であり、勿論私も一番のお気に入り作品。

 個人的に「ブラまど」のような作品が2003年の百合元年から約10年経とうとしている今出てきたこと、中学時代に百合姫と出会って百合に覚醒し最近になって漫画を描き始めた大沢やよいという作家が10代でデビューしたということは、これから百合ジャンルに次世代の波、新世代の百合オタが押し寄せる先触れ・象徴みたいなものだと思っている。

 これから先益々大沢やよいのように百合心ついた時にはすでに百合専門誌が存在していたという世代が百合ジャンルに登場していくだろうし、五年後十年後にはリニューアルした『コミック百合姫』や『つぼみ』『ひらり、』あるいは『ゆるゆり』のヒットの影響を受けた世代も現れるだろう。

 そうやって世代を重ねながら百合ジャンルが拡張更新され続いて行く幸せな未来を予感させる光がこの本にはある。

2012-08-31

百合語り #30: 私が現在(いま)の『コミック百合姫』が好きな理由(わけ)

 単純に雑誌として面白いから。

●表紙が面白い

 一年目のカズアキ×深見真、二年目のなもり、と手法は違うけれども、表紙にストーリー性を持たせ人を惹き付け、それが雑誌でしか見れないものとして提供されているわけで、文字通り雑誌の顔として機能している。

●連載が面白い

 百合姫の連載陣は定常的な百合作品から逸脱している物が多い。看板タイトルである「ゆるゆり」(なもり)からしてあえて百合的な関係を抑えてその先を読者の想像に任せているし、キャラの設定やら物語の流れやら百合の定番から外している「私の世界を構成する塵のような何か。」(天野しゅにんた)、バンド物としての話を優先させている「ロケット☆ガール -Rock it, GiRL!!-」(田仲みのる)、他ジャンルの文法を百合に持ち込んでいる「恋愛遺伝子XX」(影木栄貴+蔵王大志)、百合ジャンルと百合オタを徹底的にカリカチュアライズしている「百合男子」(倉田嘘)と百合的には問題作と呼ばれてもいいような作品があり、それ故の刺激がある。

●読み切りが面白い

 連載陣とは反対に読み切りはオーソドックスな百合を各作家がそれぞれの個性で料理している物が多く、その個性が出れば出るほど面白くなっている。その中で個人的には百合を世界に抵抗する力として描く大北紘子作品の歪さが好きだ。

●読み物が面白い

 「ウタカイ」(森田季節)や「あまいゆびさき」(宮木あや子)という小説連載も勿論面白いが、やはり作家が読者の質問に答える「hime cafe」と編集者が自分が消費した百合的なものを紹介する「ヒメレコ」が面白い。百合漫画雑誌を作っている編集者や漫画家がどういう思考や嗜好をしているのか垣間見れるのが良い。

 今の百合姫はあらゆる手法で多様な百合のあり方を提示しておりそれが雑誌としての特徴と面白さにつながっているのだと思う。

(文章中敬称略)

2011-08-01

アメコミBlack Panther: The Man Without Fearが面白くなってきた件について

※Twitterで書いたことをまとめてちょっと加筆しただけの物です。

 元々こっちでちょろっと書いた様に最初から人種問題・移民問題を設定として内包していた作品だったわけですが、それがクロスオーバー・イベント「フィア・イットセルフ」のタイイン号でストーリーとして前面に出てきて格段に面白くなった感じ(まだ#521の1話だけしか読んでないけども)。

 何と言っても元国王のヒーロー(ただし現在不法移民状態)のブラックパンサーVS移民のために人生を台無しにされたと思い込んで排斥を主張する右翼男(に取り憑いたヘイトモンガー(元はヒトラーのクローン)の思念体)という構図が面白い。そこにヘイトモンガーの手下として「どんな犠牲を払っても私はアメリカの人々を守る!」(もちろんそこに移民は含まれない)と豪語するアメリカンパンサーというバッタもんが登場したり、さらにティチャラの偽造IDの調達などを行ったフォギー・ネルソン(デアデビルことマット・マードックの親友)が弁護士資格を失うことを畏れて裏切り、ティチャラが国土安全保障省の役人に捕まりそうになってたり、と展開自体もむちゃくちゃ次が気になる感じ。

 新ヘイトモンガーの中の人の転落人生の流れをちょっと書いてみるけど、

 1年前。もうすぐ30歳になろうかという普通のアメリカ人サラリーマン、ジョシュ・グレン。仕事はあまり出来ないらしく、彼は会社で外国人上司(ターバン巻いているのでイスラム系?)にみんなに聞こえるような大声で叱責されるてしまう。それが気に入らない彼は帰宅後妻に対して延々と愚痴を言い、そしてヘイトモンガーを称え、「ネットに書いてあったけど、キャプテン・アメリカはヘイトモンガーを宇宙に追放して破滅させようとしたらしい。似非愛国者が真のヒーローになんてことするんだ」(正確にはコズミックキューブを巡る争いで自滅して次元の狭間に閉じ込められた、らしい。Wikipediaによると)と熱弁する(もちろん妻は聞き流す)。

 8ヶ月前。グレンは妻が止めるのも聴かずに「今日は独立記念日だよ。僕は自分の好きなように愛国心を表現できるのさ。職場に外国人がいっぱいいたって気にしないよ。だってここはまだアメリカなんだから」と言って、職場でヘイトモンガーのコスプレをし、クビになってしまう。

 5ヶ月前。ブログ用動画撮影のために自室で熱弁を振るうグレン。そこに妻が仕事を探すと約束をしたじゃない、もう家賃も払えないのよと咎めに来ると、「お前の両親にまた払わせろよ。それぐらい不法入国者が真のアメリカ人にして当たり前だろ」(実際は妻の両親はカナダ人)と言い放ってしまう。

 3ヶ月前。離婚調停により家から追い出されるグレン。やってきた警官に「妻の弁護士はブラジル出身なんだよ! それがどういうことか分かんないのか!?」と叫ぶ。

 1ヶ月前。路上でヘイトモンガーのマスクを被り演説するグレン。「これがどういうことか分からないのかい? 増加する移民! ホワイトハウスにも外人がいる! 秘密にされているけど、最高裁の裁判官の内4人は外国生まれだ。いつになったらアメリカ人は目覚めるんだい?」しかし移民系ホットドック屋の店主に「私は十分目覚めているよ、ご心配なく」と言われてホットドッグを投げつけられてしまう。

 1週間前。自分の主張を真剣にとって貰うために武器を欲しがり質屋に押し入ろうとしたところをブラックパンサーに捕まる。

 「フィア・イットセルフ」事件当日。マンハッタンに落ちてきた恐怖の神サーペントのハンマーに付着していたヘイトモンガーの思念体にその移民への憎悪を見込まれて取り憑かれる。

 とまあこんな感じで、なんというかどこかで見たような部分や今の日本でも通じるというかタイムリーな部分もあって面白がってばかりはいられないけどやっぱり面白いなあと。

 この話は後2話続くらしいけど注文し忘れてるんだよね。ブリスターに入荷するかしら。

2015年6月
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